Poserで動画において、トラッキングでカメラを動かすTipsを紹介したページです。
ざっくり説明
このページの内容をざっくり説明すると、
- ダミーのオブジェクトを作りターゲットに設定、Bone2本以上のダミーフィギュアを作成、ダミーフィギュアでトラッキングを行う。
- カメラにはドリーカメラを使い、ダミーフィギュアの子に設定する。
コレでピンと来た人は以下を読む必要はないです。
詳しく知りたい場合は読み進めてください。
Poserのトラッキング機能について
まずはPoserのトラッキング機能について。
通常はカメラ選択後に「Point At」でカメラで写すターゲットを選択する。
これでカメラはターゲットに向いてくれる。しかし・・・・
何も考えず『Point At』をフィギュアのHeadに適用すると、以下のような動画になってしまう。
発生する問題
- ターゲットを正確に追従しすぎる
- じっと見ていると3D酔いを起こしそうな気持ち悪い動画になる
- 思ったように追従しない時がある
- 途中でカメラが回転して、使い物にならない事もある
試した事がある人は解ると思う。そのままでは上記のような問題が発生するのだ。
以下、この辺の問題を上手く解決するコツを紹介する。
1.前準備
▲クリックで拡大
- まずは既に配置したフィギュアやオブジェクトをロックする。
- これからフィギュアやオブジェクトの隙間を縫うようにカメラやダミーオブジェクトを走り回らせるため。
- ちょっとしたミスでポーズが変わったり、オブジェクトが動いたりすると後で直すのが大変だ。
- フィギュアはツールバーから『Figure』≫『Lock Figure』、オブジェクトはツールバーから『Object』≫『Lock Actor』でロックする
2.直接ターゲットしない
カメラをフィギュアに直接ターゲットしないことでこの問題を解決する。
直接ターゲットしない理由
歩いたり、走らせたりのポーズを取らせると、フィギュアは上下運動を伴って移動する。カメラは、この上下運動も正確に追従する為、不自然な上に3D酔いの原因になるのだ。
そこで カメラをなめらかに追随させる為に、ダミーオブジェクトを置く。
こんなカンジに、カメラの中心にしたい場所にダミーオブジェクトを置く。
これならカメラワークに自由度が広がる上、実際にカメラが人間を追っているようなカンジになる。
3.カメラのモーションにはダミーフィギュアを使う
申し訳ないが『何故か』と言う説明は出来ない。色々試行錯誤して得られた方法で、自分でも何故この方法で上手く行くのか解っていないのだ。
作成したダミーフィギュアは以下のようなもの。
ただの立方体で良いので、ダミーフィギュアを作る。
経験上、Boneが一本だと上手く作動しないので2本以上のBoneを作る事。
水平方向のBoneがBone_1、ナナメのモノがBone_2である。
立方体は全てBone_1にグルーピングしてある。
作成したフィギュア
言わずもがなだが、フィギュア作りは、座標(0,0,0)で行う。変な座標で作っておくと、後で面倒になって結局作り直したりする事になる。
そんなに難しい作業じゃないので、サクっと作り、登録してしまおう。
4.カメラはドリーカメラを使う。
「3.」で作ったフィギュアにカメラをリンクさせるのだが、そのカメラにはドリーカメラを使う。
なぜドリーカメラなのか
メインカメラ、サブカメラは、自動的にシーンの中央を向くように出来ているので、フィギュアを追いかけるような動きには向いていない。
次にドリーカメラの設定を行う。
1. ドリーカメラとダミーフュギュアの座標を合わせる。
2. Roll、Pitch、Yaw、Dolly、全部ゼロにしてしまう。
全部ゼロにした後、ドリーカメラを先ほど作ったダミーフィギュアの子に設定してやる。
『Object』≫『ChangeParent...』で親になるBoneを選択する。
ここでは、ダミーフィギュアのBone_1を親にする。
ドリーカメラをロックする
ここまでの設定が終わったら、ドリーカメラもロックしてしまおう。
間違って動かすと、後で予想に反する結果が出る事がある。そして原因追求や修正がとても面倒くさい。
5.トラッキングはダミーフィギュアで設定
次に、ダミーフィギュアのBone_1を選択し、『Object』≫『Point At』でダミーオブジェクトを指定してやる。
これで完成、仕込み終了である。
6.トラッキングモーションアニメの作成。
「5.」までの作業が終了したら、ダミーフィグアのBone_1を選択し、動かして見よう。
ダミーオブジェクト(青い箱)、ダミーフィギュア(ピンクの箱)どちらを動かしても、ダミーフィギュアはキチンとダミーオブジェクトの方向を向いている事を確認する。
- 上手く追従しない場合、何処かで操作を間違えている。
- 無事動くようなら、アニメーションに沿ってダミーオブジェクト、フィギュア両方動かしてアニメーションファイルをつくってみよう。
ターゲットになる位置、カメラの位置を設定する作業なので、普通にPoserのカメラを動かすより直感的に操作出来る筈だ。
最後に: 本番レンダリング前のひと手間
本番のレンダリングでは不要な要素を非表示にする。
ヒエラルキー(階層)エディタで「ダミーオブジェクト」、「ダミーフィギュア」を非表示設定にしてやればよい。
完成品
これでPoserでも自然なカメラトラッキングが行えるようになった。
あとがき
まだ少しカメラが回転したりするので、もっと上手いやり方があるかも知れない。
しかし、それらはダミーフィギュアの「Boneの回転角」を調整する事で簡単に回避出来る。現時点では私はこれで満足している。不満がある方は各自やり方を工夫して見てほしい。