自然景観に続き、街中・室内をレンダリングする際の効率の良いレンダリング設定の考察である。
今回も、動画を制作する為の覚書きであり、ディティールの描写よりレンダリング速度を重視している。『この位が丁度良い』と言うのは 個人的主観が大きいので、ここの結果を見て各自調整して欲しい。


■街中・室内まとめ・気をつける点
 ・直線やなめらかな曲線の表現が多く、また見る人の目がエッジ部分に
  向き易いため、アンチエイリアスをしっかりかける必要がある。
  アンチエイリアスは2x2の10%~20%程度にして、目的の150%
  ~200%程度大きくレンダリングするのが効率が良い。

 ・人の目がどこに集中するかを考えて、重要度の低い部分はなるべく簡略
  化した方が良い。
 ・演算ノードは必要以上に細かくしない、バンプの深さも1以上にしない事で
  リンギング発生を防ぐ。思い切ってバンプをゼロにするのも効果的。
 ・アンチエイリアス『Clip』が、Vue5と同等のエッジ処理(シャープである)。
  それ以外のモードは詳細はボケる。写真のような絵が出来るがフリッカ
  は少し減るのみ。
 ・テクスチャフィルタリングの性能が良いため、レンガ、石畳、壁紙等の
  リンギングが発生しやすいテクスチャをそのまま使用しても大丈夫。
  (植生との相性はそんなに良くないので注意する事。)
 ・画像サイズが大きいなら、フリッカ低減機能の3番目『Distance blurring
  をonにする。(画像はボケるがリンギングが減る。)
 ・『Distance blurring』を使用する場合、レンダリングサイズが小さいと、
  単にボケた絵に見えてマイナス印象となる場合が多いので、シャープに
  作る事を心がける。
  逆に大きい絵でシャープに作りすぎるとCG臭さが強調されるので注意する。
 ・フリッカ、リンギング、エッジのジャギーが大きい場合はAvisynth等で
  時間軸にぼかしをかけてやる。



■実験内容・結果
Poser7E、Vue6を使用。
DazのStonemason BackStreetを静止オブジェクトとしてVueに取り込み、12秒のフライスルー動画を作成。

  サイズ アンチ
エイリアス
テク

チャ
フリッ
カー
低減
機能
モー
ション
ブラー
バンプ
マップ
レンダー
パス
最適化
外部
フィルタ
F
P
S
レンダリング
時間
A 320X240 2x2 10% ON OFF 使用 ON 使用 60 1h23m13s
B 320X240 none ON OFF 使用 ON 使用 60 1h13m50s
C 320X240 none ON ON 使用 ON 未使用 30 2h38m11s
D 320X240 2x2 10% OFF OFF 使用 ON 使用 60 1h24m58s
E 480X360 2x2 10% ON OFF 使用 ON 使用 60 2h39m58s
F 320X240 2x2 10% ON OFF 未使用 ON 使用 60 1h29m17s
G 320X240 ファイナル ON OFF 使用 OFF 未使用 30 2h02m53s
はオススメ設定
・Gはレンダリンング設定ファイナル。
・モーションブラー:Hybrid 2.5D、Pass数1
・テクスチャフィルタは全て20%で行っている。
・テクスチャサイズ小は大に比べ1/4のサイズ。
  2048X2048のマップを512X512等に縮小した物を使用。
・上段から順位検証。検証中、メモリパージは行ったが再起動はしていない。
  下段に行くほどレンダリング時間が長くなっていると思われる。
・フリッカ低減機能は『Distance blurring』のみ使用。
・アンチエイリアスは全て『オートマチック』
・外部フィルタはAvisynthスクリプトを使用。使用スクリプトは下記。

Avisource("2x2-texfill-flicon.avi")
ConvertToyuy2
Convolution3D(0,0,0,255,255,10,0)
Convolution3D(0,0,0,255,255,10,0)

LanczosResize(320,240)
return last

前回使用したスクリプトをそのまま流用したのでConvolution3を二重にかけている。
モーションブラーが強めになりすぎたかな?と思いつつそのまま実験した。
以下、検証結果の動画ファイル。

画像クリックで動画再生。


a-008.jpg
G.まずは ファイナル設定。692Kb
今回の実験の基準にする動画。
30FPSでモーションブラー無しの動画はやはりカクカクする。少し工夫をして行きたい。
60FPSにすればそれだけで動きは滑らかになる(サンプル)が、30FPSで滑らかに動いているように見せるため、今回もAvisynthを外部フィルタに使用する。

a-003.jpg
C.モーションブラーON(Hybrid 2.5D、Pass数1)したもの。772Kb
アンチエイリアスを無しにしたのを後から後悔した。
が、この出来上がりで2時間半は掛かりすぎと判断する。
(大きい画像でのレンダリングなら、Vue内でモーションブラーした方が早くレンダリングできるっぽい)


a-001.jpg
A.アンチエイアリスは必要最小限にして60FPS、外部でフィルタを当てて擬似的にモーションブラーを表現。466Kb
動きの激しい動画ならレンダリングパス最適化を行っても画質劣化は気にならない。
レンダリング時間も70%程度に短縮。
個人的見解だが画質とレンダ時間のバランス的にこれがベスト
30FPSにダウンサンプリングしてもこの通り自然に見える


a-002.jpg
B.アンチエイリアス無しの60FPS、外部でフィルタを当てて擬似的にモーションブラーを表現。696Kb
A.に比べ10%程高速にレンダできるが、個人的には10%高速化以上にエッジのジャギーが目立つ。
高速化もここまでやるとチョット使えない気がする。


a-004.jpg
D.フリッカー低減『Distance blurring』をOFFに、テクスチャサイズを1/4にしてみたもの。576Kb
殆ど差が解らない。
Vueのファイルは36mbから7mbに減り、操作もやや軽くなったが、やはりVue、テクスチャサイズはレンダ時間に影響無い模様。残念。
テクスチャの精度も、このサンプルでは全く違いが解らない。

外部フィルタでモーションブラーをかける時にDistance blurring使用は意味が無いっぽい。基本OFFで良いかも。
モーションブラーをかけない時はDistance blurring ONの方が自然な仕上がりになる。


a-005.jpg
E.150%のサイズ(480X360)でレンダリングし、外部フィルタでリサイズしたもの572kb
画像が大きい分、時間はかかるが美しく仕上がる。エッジのジャギーが気になるなら、やはりFinalよりこの方法が効果的。
A.より綺麗な仕上がりが必要ならこの設定がオススメ。

こちらも30FPSにダウンサンプリングしたサンプルアップ


a-006.jpg
F.マテリアル全てのバンプマップをリセットし、取り去ったもの。576kb
うっすらとバンプが掛かっている程度のものは、例えバンプをリセットしても、レンダ時間も視覚的にも、効果は無かった。
(バンプがしっかり掛かっていれば、レンダ時間は長くなるのだが)


以上。この辺の画質の違いに神経質にならなくても良いのではないかとも思いつつ、効率良くレンダリングが必要な時の為に、暇を持て余している時に実験した事のまとめであった。