先のエントリー動画制作時のコツVue6-街中・室内編で、レンダリング時にモーションブラーの設定を付け加えると、レンダリングが遅くなる事を書いた。

が、同時に、『大きい画像でのレンダリングなら、Vue内でモーションブラーした方が早くレンダリングできるっぽい』とも書いた。

その辺を今回もサンプル動画を作りながら解説する。

■結論
遅く感じるのは、レンダリング時、ブラーの計算時間が数秒ある事(これはすぐわかる)と、レンダリングパスの最適化が無効になるため。

vue-mb.jpg
現在、Vue6でモーションブラーの設定をHybrid2.5Dにすると。。。

opt-off.jpg
自動的に『レンダリングパスの最適化』がオフの状態になる
※画像が間違っていたので修正しました2007.5.24

ちなみに、モーションブラーの設定をDistributed ray-tracingにすれば、レンダリングパスの最適化のON、OFFは有効になる。

しかし、ギリギリ低い設定でレンダリングしたいのでHybrid2.5Dで(以下H2.5D)『レンダリングパスの最適化』がオンに出来ないのはかなりガッカリなのである。今度のアップデートで治らないかな。

Vue5の時代からの現象なので仕様っぽい来もするが、そのうち気が向いたときにe-onにメール出そうとおもう。



■検証
前回動画制作時のコツVue6-街中・室内編と同じデータで、レンダリングサイズを640X480に、レンダリング時間が大幅に増えるため、2.5秒程の動画で検証。

とりあえず、以下の条件でレンダリングし、レンダリング時間を計ったので、気になる人は各自数値と条件を比較しても良いだろう。
ちなみに、アルファベットをクリックで動画が再生される。

  アンチ
エイリアス
モー
ション
ブラー
レンダー
パス
最適化
外部
フィルタ
FPS カメラ
ブラー長
レンダリング
時間
 A  2X2 10% H2.5D ON なし 30 50% 1h03m50s
 B  2X2 10% H2.5D OFF なし 30 50% 1h03m13s
 C  2X2 10% 外部 ON あり 60 なし 0h53m33s
 D   2X2 10% 外部 OFF あり 60 なし 1h47m57s
 E  2X2 10% Raytrace ON なし 30 50% 0h42m24s
 F  2X2 10% Raytrace OFF なし 30 50% 1h05m34s
 G  4x4 75% Raytrace ON なし 30 50% 1h20m10s
 H  2X2 10% H2.5D OFF なし 30 80% 0h59m51s
 I  2X2 10% Raytrace ON なし 30 80% 0h42m01s
比較 2X2 10% なし OFF -- 30 なし 0h44m06s
640X480、30FPSのMP4動画なので、環境によってはコマ落ちするかもしれません。
  今回、負荷を考えて60FPSの動画は30FPSにダウンサンプリングしてます。
  例によって外部モーションブラーはAvisynthです。
  途中、D-E間、H-I間で再起動。それ以外は下に行くほどレンダリング時間はやや延びている
  ものと思われる。


1/3位データ取った所で、『静止画のテストで十分じゃないか!』と気が付いたが後の祭り。少しは静止画より有用なデータも取れたので、良しとしよう(´Д`;)
のんびりやってたら3日かかりました。。。


■気が付いたこと(アンチエイリアス2X2 10%時)
レンダーパス最適化画像  :1枚20秒
レンダーパス最適化未使用:1枚40秒強
H2.5Dは強制的に     :1枚40秒強
モーションブラー計算時間 :1枚12秒前後

○ H2.5Dを使用すると、レンダーパス最適化のON、OFFでレンダリング時
  間、画質に差が無い。


○ モーションブラーの計算時間に今回のデータで12秒程度かかる(データ量に
  よる。Poserフィギュアがアニメーション設定が入っていると更に遅くなる)。

   単純に考えると、この「計算時間」が1フレームのレンダリング時間と同等以下
  になるようなら、モーションブラーを使ったほうが、60FPSにするより早くレンダ
  リングが終わると思ったが、レンダーパス最適化が無効になるらしく、実際は
  思ったような結果は出ない。
   確かに、レンダーパス最適化をOFFにした60FPS動画と比べれば、高速
  にレンダリングは終了した


○ モーションブラーにDistributed ray-tracingを使用した場合、レンダーパス
  の最適化は有効に働く。

  しかし、画質が低い場合はDistributed ray-tracingはあまり有効ではなく、ザ
  ラザラ感が酷い。動画では低設定を好む私の場合、あまり意味は無い。
   相当に画質を上げたときにのみ使うが吉。現にVueのプリセットでもDistributed
  ray-tracing
を使用しているのはUltraのみ。この辺りの設定になると、H2.5Dの
  設定を上げたものよりDistributed ray-tracingが美しい上に数倍早い。

○以前のエントリで説明した、『大きくレンダリングして後で縮小技』を、
 Distributed ray-tracingに試してみた。
  960X540、2X2 10%、レンダーパス最適化ONの低設定で同じくレンダリング
  レンダ時間→1h09m48s(サンプル動画)
  この程度ではやはり物足りないが、上の4x4 75%と比べると興味深い。
 この場合も『大きくレンダリングして後で縮小技』は有効と見る

○ Cameraのブラー量を変化させても、レンダリング時間、ブラーの計算時間共に
  変化は無い。ただし、Poserフィギュアにアニメーション設定がある場合は別。
 ブラー量に応じてブラーの計算時間は増える。


その内、Poserフィギュアがアニメーションする場合のデータも取ろうかとも思うが、まあ、それはまた気が向いたときに。